広告は、メインディッシュ、メインコンテンツのスキマに、間に、途中にある、という話でした。広告の媒体特性を左右する大きな要素は、メインディッシュ、メインコンテンツなんだ、ということでした。
では、また、頭の体操です。
広告ってなんだろう。説明できますか。
「先輩、広告会社を目指しているんですってね。広告って、そもそも、なんなんですか」。大学の後輩にそう尋ねられたら、さて、どう説明しますか。
「テレビCMでは、車やビール、いろいろな商品が広告されているから、広告って、商品やサービスを宣伝するもの」
なるほど。そうですね。商品・サービスの情報を伝えるもの。では、「主語」は?「だれ」が商品・サービスの情報を伝えているのが広告ですか。
「企業、ですかね。はい、広告主です」
はい。「広告主の企業」が自社の商品・サービスの情報を伝えているのが広告です。では、「だれ」に?
「だれに?商品・サービスを買う人だから、消費者です」
広告主の企業が自社の商品・サービスの情報を「消費者」に伝えているのが広告ですね。いい感じです。でも、これだと、一方通行ですね。「消費者」を主語、主役にしてみると、広告ってどういうものだと言えますか。
たいてい、学生のみなさんは、ここで、はてな、となってしまいます。意外にも、「広告会社のオープン・カンパニー、インターンシップ、20社も参加しました!」という学生さんほど、そうです。案外、「広告会社のオープン・カンパニーは今回が初参加です」という広告ビギナーの学生さんがずばって言い当ててくれます。
「消費者が企業の商品・サービスの情報を入手しているのが広告、ですかね」
正解です。
なあんだ、あたりまえじゃないか、という声が聞こえてきそうなんですが、案外、これが出てきません。理由は、たぶん、広告に関心がある、業界研究している学生のみなさんほど、目線が「広告主」に偏っているんじゃないかな、と思います。
広告会社なんだから、「広告主目線」で当然じゃないか、といわれそうなんですが、そうでしょうか。
広告はコミュニケーションです。
広告の「送り手」(広告主、広告会社)が、「受け手」(消費者)の目線を失ってしまえば、それはもう、「一方通行」の押し付けになってしまいます。結局は、伝わらないんじゃないか、と私たち読宣は思うのです。
広告ってなんだろう。
企業が自社の商品・サービスの情報を広く消費者にお知らせするものが、広告。
同時に、消費者が様々な商品・サービスの情報を広く手に入れ、暮らしを豊かにするものが、広告。
「企業にとっての広告」と「消費者にとっての広告」。広告というコインの両面です。
あたりまえだけれど、あたりまえすぎて、ついつい忘れてしまう。広告に向き合うとき、情報の発信者である広告主・企業とともに、情報を入手する主人公である消費者を意識することを私たち読宣は大切にしています。
1980年代、「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズを掲げた放送局がありました(古いですね)。「伝わらなければ、広告じゃない」と、読宣は思うのです。
では、「伝わる広告」ってなんでしょう。