世界有数のファッションブランドの
創設者として知られるココ・シャネルは、
業界で名を馳せた後、
雇用していたお針子たちがストライキを起こしたり、
ナチスに地元パリを占領されたり、
戦後はドイツ軍パリ司令部の高級将校と
親密な関係あったことが問題視されスイスへ亡命したりと、
ファッション業界での大成功から一転、
奈落の底へ真っ逆さまに突き落され、環境が激変してしまいました。
その時彼女は、あなたは何をするために、生まれてきたの?
と自分に問いかけ、人生は自分で切り開くしかないことを悟りました。
ファッション界へのカムバックを試みる彼女を待ち構えていたのは、
古臭いとか売国奴などといった悪口雑言の大バッシングでした。
それでも彼女は、奇跡の復活を果たします。
家族の愛に恵まれない辛い幼少時代から這い上がってパリで成功、
暗い戦争と亡命生活、そして、大バッシングの中での奇跡の復活。
幼いころからいくども試練をのり越えてきたココ・シャネルは
「人生がわかるのは、逆境のときよ」という言葉を残しています。
またロシアの文豪トルストイは
「一度も病気をしたことのない人間とはつきあうな」
と言っています。
ひとは病気をすることで、
感謝の気持ちや、思いやりの心、
忍耐力や強い意志を身に着けると考えたのでしょう。
もちろん病気や怪我は嫌なものです、
できれば経験したくありません。
しかし、病気になったおかげで、
来し方を振り返り、いろいろと考える時間を持てた―
辛い経験に感謝できるようになった―
そう語る人はたくさんいます。
病気になって大切なものを失うこともあるでしょう。
けれどそこで、なんで自分だけが・・・と
身に降りかかった災難を恨むのではなく、
静かに考えるチャンスを与えてもらった―
学ぶ機会ができた―
改めてスタート地点に立つことができた―
そんなふうに心のスイッチを切り替えることができれば、
未来は大きく変わるのではないでしょうか。
新型コロナウィルスに多大な影響を受けているいま、
わたしたちは真価を問われ、その力量を試されています。
明るい未来を創造するには、耐え忍ぶだけではなく、
前向きな言葉を発することが大事です。
つらいとき、苦しい時こそ
前向きな言葉を発することが大事ですが、
だからといって
ネガティブな思考が悪いということではありません。
否定的な捉え方をするネガティブ思考は、
リスクを考慮して慎重になることだとも言い換えられます。
リスクヘッジはとても重要なことです。
ただ、ネガティブな感情が強くなりすぎると、
可能性を制限してしまい、
せっかくのチャンスを逃してしまうこともありますね。
ネガティブな感情は
特定の事象に結びついて思考範囲を狭くします。
一方、ポジティブな感情は視野を広げることで
さまざまな考え方や行動に目を開かせる働きをします。
ネガティブな感情というのは、
目の前の危険を避けるための思考であるのに対し、
ポジティブな感情は、
より発展的に未来に向かっていく思考であるといえます。
でもねぇ、そうとはわかっていても、
じゃぁいまからすぐにプラス思考に切り替えよう・・・なんて、
そうそう容易くできることではありません。
そこで〝言葉〟の出番です。
意識して前向きな言葉を使うことで、
気持ちをポジティブにするのです。
けど、そんなことがほんとうに可能なのでしょうか?
自律神経は人の生体をコントロールしますが、
脳が思考したことに無条件に反応するという特性があります。
〝病は気から〟なんてことも古くからいわれていますね。
どうも体調が優れない―
もしかして病気なんじゃないか―と思い込んでしまうことで、
ほんとうに病の床についてしまうということがあります。
逆のケースもよく耳にしますね。
単なるビタミン剤をよく効く薬だと信じて服用しているうちに、
重い病気が完治してしまったというあれです。
このように脳が思考したことに
身体が反応してしまうということは現実にあります。
そして思考は言語で構成されています。
よって、言語を操ることで、
自らをコントロールすることは可能なんだそうです。
脳は思考を現実か想像か判断出来ないため、
頭の中で考えたことが本当なんだと錯覚します。
そのことによって、
身体をコントロールする自律神経系が影響を受けます。
その思考を構成するのが言語なのです。
つまり、気持ちから言葉が生まれるのでなく、
言葉から気持ちが生まれる状況を作るのです。
無理して気持ちを変えるのではなく、
発する言葉を変えることで、
自然に気持ちを高揚させることができるんですね。
実際ネガティブなことばかり口にする人がそばにいたら、
こちらの気持ちも滅入ってしまいますね。
反対に常に前向きな言葉を発する人がいたら、
周りの人の気分も良くなり、その場の雰囲気は明るくなります。
言葉は周辺にも影響を与えるということです。
ポジティブな雰囲気が良い循環を生み、
人間関係も良好になって、良い気分が伝搬します。
では、ネガティブな言語をポジティブな言い方に変換するには―
〝大雑把〟は〝心が広い〟に、
〝優柔不断〟は〝思慮深い〟に、
〝八方美人〟は〝誰にでも気遣いができる〟に、
〝落ち着きがない〟は〝行動的である〟に、
〝人の意見に左右される〟は〝人の意見にちゃんと耳を貸す〟
というふうに変換することができます。
そのほかにも
計画性がない⇒行動力がある 愚痴っぽい⇒気持ちに正直
緊張感がない⇒肩の力が抜けている 愛想が悪い⇒媚ない
能天気⇒恐れ知らず 理屈っぽい⇒論理的
内気⇒奥ゆかしい 気が弱い⇒繊細・優しい
孤独⇒自立している 短絡的⇒即決力がある
利己主義⇒合理的 暗い⇒落ち着きがある
飽きっぽい⇒切り替えが早い 意地っ張り⇒意志が強い
オタク⇒ある種の知識に精通している いい加減⇒おおらか
時代遅れ⇒流行に左右されない 浅はか⇒行動を起こすのが早い
・・・などなど。
長所、短所は表裏一体です。
ポジティブもネガティブも捉え方次第なんですね。
注意すべきは、
例えば商談がうまくまとまらなかったときに、
「大丈夫。運が悪かっただけ。今度はきっとうまくいくさ」
と考えるのは、現実から目をそらしているだけ。
「つぎは成功するように、ここのところを工夫してみよう」
というふうに考えるのが、本当のプラス思考です。
最後にココ・シャネルの言葉をもう一つ。
「私の人生は楽しくなかった。
だから私は自分の人生を創造したの」