たねまき

「ちらしの可能性を広げたい」
私たちが種を撒き、企業様とともにたくさんの花(ちらし)を咲かせ、生活者に笑顔を届けます。
2020年12月11日
フュージョン

おかえり 心斎橋パルコ

 2020年11月20日に心斎橋パルコがオープンした。初代心斎橋パルコが営業していた場所から大丸心斎橋店北館(旧そごう心斎橋本店)の跡地に場所を移し、9年ぶりのご帰還である。地下2階~地上14階までの売場面積は約40,000㎡(初代の約5倍)、2021年以降の開店も含めると約170店が出店する東名阪の旗艦店である。そのうち、全国初出店11店、関西初21店。初代心斎橋パルコは、若者カルチャーとアートを織り交ぜた発信力で時代をリードしてきた。その戦略は新生パルコにも受け継がれており、テーマは「伝統と革新」である。床の一部には、旧そごう時代の1階エレベーターホール前にあったタイルを再利用しているという事で、何十年もこの地で商いをしてきた伝統が感じられる。柱には、チャップリンのアート、館内全体にも複数のアートがあり、デザイン性が高く、買い物をするだけでなく見て楽しめる施設である。新規事業のワーキングスペースは、フリーアドレスのスペースや個室・キッチンも併設している。

 新型コロナウイルス対策の為、初日から4日間はオンラインによる事前予約制となっていた。加えて、大阪府下の新型コロナの感染者数が増加している事もあり、外出自粛要請が出される前ではあったが、心斎橋周辺の人通りは寂しい感じがした。

 

 1階のエルメス大丸心斎橋店は、9月19日に一足早くオープンしている。売場面積515㎡の関西最大規模の店舗で、御堂筋側の入口は高級感溢れる店構えで客を出迎えている。他にも、ティファニーやグッチ大丸心斎橋店といったラグジュアリーショップがある。2階は、ハイセンスな芸能人が着ていそうな左右の丈の長さが違うコート、他にもオシャレ上級者でないと着こなせないような店が数店あった。3~5階は、1階と2階フロアに比べると価格帯は抑え目のカジュアル衣料とカフェが充実していた。

 6階は、親子連れが満喫できるフロアである。ゴジラ・ストアには、1984年〜1995年の平成ゴジラシリーズの映画で実際に使用した型を用いて製作した、2mのゴジラのレプリカが展示されていた。他にも高価なゴジラのフィギュアが展示してあるので、倒さないように気をつけなければならない緊張感があった。レゴショップや人より大きなトトロが展示してあるどんぐり共和国、普通のハンバーガーの何百個分?と思わせる大きさのディスプレイを飾っているフィギュアショップと、このフロアだけでも十分見応えがある。

 7階は無印良品(約2,145㎡)がワンフロアを占め、オリジナル家具・インテリアブランドIDÉEも販売していた。8階はつるやゴルフやABC-MART、他にもスポーツ・アウトドア用品のショップが出店している。

 9~11階には、長堀通にあった東急ハンズが移転してきた。売場面積は、移転前の2/3ほどに縮小して約4,000㎡となった。東急ハンズ心斎橋店は、ストアコンセプトを「8 感で、好奇心動く新ハンズ」とし、5 感を超えて「感じる」「響く」「知る」をプラス。その目玉はフエキSHOPだ。園児の頃に一度は使ったことがあるだろう、黄色の顔と赤色の帽子が特徴のフエキのでんぷんのり売場である。

 12階~14階までの一部は吹き抜け。AIBOのデザインを手がけた空山基さんが制作した、高さ7mの全身シルバーのセクシーロボットをパブリックアートとして特別展示している。

 地下1階は、軽食フロアの他に来年には成城石井が開店し、地下2階は「心斎橋ネオン食堂」と銘打ったフロアがオープンを控えている。

 

 隣の大丸心斎橋店本館とは、地上2階~10階の各階が連絡通路でつながっており、回遊性が高くなっている。大丸心斎橋店は1726年創業の老舗百貨店で、2019年9月に4年に及ぶ建て替え工事を終え再オープンした。本館は、大正11年~昭和8年にかけて造られた大正モダン建築で、西洋建築の名建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏が手掛けた建物である。全て取り壊して建て替える事をせずに、世界初の特殊工法を用いて御堂筋側の1~7階の石積の壁面を残す手法を行ったので、4年とういう歳月がかかったようだ。やはり大丸心斎橋と言えば心斎橋のランドマークであり、あのレンガの外観のイメージが強いので、面影が全て無くなるとイメージダウンは否めなかったのだろう。大阪大空襲でも焼け残った本館は、当時の装飾品が今でも多く残っている。当時のパーツを採取・保管して約7割を再利用している。1階の御堂筋側玄関はイソップ寓話が出迎えてくれる。今や紙袋のイメージカラーにもなっている孔雀のレリーフが、心斎橋筋商店街側の玄関に飾ってある。近年、建設される大型商業施設には無い、歴史ある百貨店だからこそできる見て楽しめる店構えである。

 百貨店と言えばデパ地下であるが、大丸心斎橋店本館は’19年の改装を機に生鮮や惣菜、スイーツの規模を縮小して、地下2階は酒も含め飲食ができるようなフードホールに大きく変わった。対照的に長年のライバルである高島屋大阪店は、生鮮をはじめとした食料品を販売していて、いつも人で溢れかえっており、売場も広いので行き慣れていない人は迷子になるかもしれない。

 

 心斎橋や難波エリアは、「OPA」「BIG STEP」「高島屋大阪店」「なんばパークス」「なんばCITY」「なんばマルイ」といった大型店舗の他にも「心斎橋筋商店街」「アメリカ村エリア」「堀江エリア」には路面店が多く存在し、歩いて回ることのできる地域である。最寄りの大阪メトロ心斎橋駅は、1日当たりの乗降客数約18万人と複数路線が乗り入れるなんば駅と比べると、メトロだけで比較しても約半数と少ないものの、駅すぐという立地の良さがある。大型マンションの建設も盛んであったため、中央区の人口は2015年(91,831人)から2020年(102,432人)を比較すると1万人以上増えており、商業・ビジネスエリアから住む街としてのニーズも高まっている。人口減少が叫ばれる中、小売店にとっては嬉しい傾向である。

 新型コロナウイルスの影響で外国人観光客の売上が見込めない昨今、日本人による消費が問われる。2020年がこんな年になると誰が想像しただろう。数年前までは、日本人をターゲットにした経営で成り立っていたが、インバウンドによる地価高騰で心斎橋・難波エリアの経営は一段と厳しくなり閉店している店舗が多数見られる。どの業種・業態でも言える事だが、時代の変化とともにバージョンアップしていかないと生き残れないのだろう。関西唯一のパルコは、伝統を守りつつ、新規事業にも果敢に挑戦している。コロナ禍でのオープンと逆境ではあるが、初代パルコと同じように時代をリードする存在となることを期待する。初代を知らない若者にも、新生パルコの「伝統と革新」を感じてもらいたい。

 

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