スーパービバホーム吹田千里丘店が、2021年8月4日に開店した。この2日前、大阪では4回目の緊急事態宣言が発令されたばかりだ。これまで緊急事態宣言が発令されると、オープン予定の量販店は延期を余儀なくされることが多々あったが、今回は無事にオープンの運びとなった。
この度、ビバホームが出店の地に選んだのは、『太陽の塔』で有名な万博記念公園のある吹田市だ。市域は、北側地域にかけて丘陵地になっており、JRや阪急電車、大阪メトロ御堂筋線、北大阪急行、大阪モノレールの15駅があり、江坂駅周辺のような人が集まるスポットもあれば、北側には目を見張るほどの高級住宅街もある。同市の共同住宅比率は73.8%、そのうち持ち家共同住宅比率は27.9%で府内2番目の高さで、北摂の住みたい街ランキングでも上位にランクインしている。2015年に開業した衣食住が揃う『エキスポシティ』は吹田市民のみならず、他県ナンバーの車も多く見かけるほどの人気ぶりである。ガンバ大阪は、その近くにある『Panasonic Stadium Suita(市立吹田サッカースタジアム)』を拠点に活動しており、サポーターが青色のユニフォームを着て自転車で応援に来ている光景を見かけると地域に息づいていると感じる。そして、特定機能病院に指定されている国立循環器病センターや大阪大学医学部付属病院の他にも多数の病院があることも市には魅力の一つである。
ビバホームは、埼玉県に本社を置く企業で2020年11月に㈱LIXILビバから社名変更した。関西1号店は2011年6月オープンの寝屋川店なので、まだ関西進出を果たして10年あまりだ。この寝屋川店を皮切りに、同年9月に東大阪店、2012年9月に橿原店、2013年6月伊丹店、同年10月に大阪ドームシティ店、2016年2月に和泉中央店とコンスタントに店を構えていった。和泉中央店を最後に5年半ぶりの出店となった吹田千里丘店は、売場面積8,700㎡と既存店と比較すると小ぶりな単独店だ。
今後の予定としては、今年9月には複数の専門店から成るビバモール美原南インター店がオープンを控えている。その後も神戸玉津インター店(仮称)、茨木店(仮称)、西明石店(仮称)と立て続けに出店予定があるので、今後もビバホームから目が離せない。一方、関西のホームセンターと言えば『コーナン』が関西圏で約220店と圧倒的な店舗数と知名度を誇る。今回の出店地の四方八方にもコーナンがあるので、コーナンのファンをいかに獲得するかに苦慮しそうだ。
吹田千里丘店は、毎日放送千里丘放送センターとミリカゴルフセンターの跡地だ。すぐ北には名神高速道路の吹田JCTや広大な敷地の万博記念公園があるので、南側地域以外の住民にはピンとこないかもしれない。万博記念公園がある事で北側地域からの交通アクセスが妨げられている事と、1.5km北東にあるイオンモール茨木の影響で府道14号線(大阪高槻京都線)は慢性的な渋滞の為、茨木から吹田へ向かうのは敬遠される懸念がある。しかし、周辺には総戸数1,284戸の『ザ・ミリカシティ』のマンション群が連なっているので、足元の層は厚い。欲を言えば、1km圏にスーパーが少ないのでスーパー併設型であればより重宝されたに違いない。
店舗出入口付近に、ドトールコーヒーがある。平面と屋上に約530台の無料駐車場があるので、地域住民は時間を気にせずに一息できそうだ。店内の半分は、資材館になっており工具や木材など職人向けの商品も充実している。職人にいかに認知してもらえるか施策が必要と言えそうだが、一般向けのDIY需要に応えるように、木材カットや工具のレンタルなどを有料で行っている。残り半分は、一般消費者向けの日用品が取り揃えられていた。医薬品は無いが、米や飲料は販売しており、通路も広く、圧迫感がない造りだ。ペット売場には、トリミングやペットホテルも用意されており、カピバラやフクロウといった変わり種も取り扱っていた。また、定番のドッグフードだけでなくインスタ映えしそうなケーキの形をした商品も販売しており、近隣のホームセンターには見られない光景であった。
店内には30ページを超える『防災ガイド』の冊子が置いていた。オープン時のニュースリリースの一文に、「自然災害が頻発する昨今の状況を鑑み、LCP(災害が起こっても普段通りの生活を維持できるように日頃から各家庭で備えておくこと)を提案する防災用品コーナーを充実させながらも、商品の提案にとどまらず、地域の皆様の災害時拠点としての役割を担う設備を備えています。店舗には非常用自家発電機及び非常用給水設備を設けており、停電下には資材・生活物資の提供をするとともにお客様向けの充電サービスを行い、断水下においては飲料水の提供及びトイレの開放を行います。」と掲載されていた。(出典:ビバホームHP)いつ発生するかわからない自然災害に対応してもらえるのは、市民にとってはありがたい存在と言える。
折込チラシに目を向けると、7月30日にアプリの新規会員募集の案内チラシがB4サイズで投下されており、オープン当日にはB2サイズで折込があった。表面は、日用品・生活家電・レジャー用品・カー用品・ガーデニング、裏面の半分は資材館、残りはインテリアとペットといった紙面構成だ。8月14日折込の第2弾もB2サイズでされていた。これまでにオープンした関西6店舗の折込は、B1サイズであったのに、コロナ禍のせいかサイズダウンとなった。ビバホームのオープンチラシは、B1サイズに見慣れていたので、商品のインパクト感が無くなり少し寂しい感じはした。
最後に、ホームセンター市場は、コロナ禍の巣ごもり特需もあり2020年初めて4兆円を突破した。2006年から順次カーマ・ダイキ・ホーマック・サンワ・くろがねや・ケーヨーデイツーが連合化し、DCMグループが誕生した。ここ数年、業界トップに君臨していたDCMグループが、2020年その座を単独のカインズに奪われた。そして、昨年からまた新たな再編の動きがある。ビバホームは、2020年6月からホームセンタームサシの看板で知られるアークランドサカモト㈱と業務提携をし、同年11月には完全子会社化された。年が明け2021年になると、㈱ニトリホールディングスがホームズを展開する㈱島忠を子会社化するといった再編があった。そして、6月埼玉県に『ニトリホームズ』の看板の店舗が初お目見えした。以前からナフコが家具のTWO-ONE STYLEを展開しているように、ホームセンターと家具は取り扱っている商品が似ていることから協業しやすいと言える。コロナ禍もあり、ホームセンターだけでなく、業界再編の流れは加速しそうだ。
智
≪ビバホーム 関西の店舗一覧≫