たねまきコラム

「ちらしの可能性を広げたい」
私たちが種を撒き、企業様とともにたくさんの花(ちらし)を咲かせ、生活者に笑顔を届けます。
2022年09月27日
コラム

売らない百貨店?!

 その名の通り、展示はしているが売らない店だ。以前から、売らない百貨店という言葉を耳にしたことはあったが、ついに関西にも来たかと衝撃が走った。この事を知るきっかけとなったのは、8月25日付の読売新聞。体験型ストアを運営する「b8ta(ベータ)」について掲載されており、注目度の高さを感じた。

 

 b8taは、2015年にシリコンバレーに1号店がオープンし、2020年東京にも進出を果たした。販売を目的とせず、展示品を体験してもらい、購入したい人はオンラインで注文して、自宅に配送する仕組みだ。店内に設置したAIカメラから来店者の行動分析データを取得してマーケティングデータを提供しているそうだ。

 

 

 b8taが出店する阪急百貨店うめだ本店のイベントスペースには、軽の電気自動車(日産)2台をはじめ、コマツのミニショベルカーといった大型商品が展示されていた。他には、野球打者目線用のVRゴーグル、原付バイクと自転車が1台で切り替えられる代物、化粧品・美容器具、ダイズライス(米のような見た目の大豆食品)、タブレット端末を接続して使用できるキーボード、ビールサーバー、キャッシュレスに対応した指輪、機能性マスク、香水など19点が並ぶ。

 

 それでは、私が気になった商品を2点紹介しよう。まず、「V-BALLER」という商品だ。野球打者目線用の VRゴーグルを装着してセンサーの付いたバットをスイングするというもので、プロ選手の投球を体験できる。データ化もできるので、客観視してパフォーマンスの向上に役立てられる。バッティングセンターや体を動かして遊ぶ家庭用ゲーム器具とは、臨場感が全然違う。球速MAX137キロだが、今後改良していくそうだ。支払い方法は、流行り言葉のサブスクで定額制だ。プロ球団も導入しており、部活など大人数でシェアできる。また、密かに練習したい人にもオススメだ。

 

 2点目は、乗り物メーカー「glafit」が手掛ける、原付バイクと自転車が1台でチェンジできる日本初認定のハイブリッドバイクだ。原付モードは電気による稼働で、1回の充電3時間で電気代約12円、34キロ走行可能。1台約20万円だが、原付と自転車を2台所有しなくて済むのは魅力的だ。第一種原動機付自転車扱いなので、自転車モードでも常時ヘルメット着用と免許携帯は必須、車道走行となっている。

 これらは、クラウドファンディングサービスに出品していたり、ニュースで取り上げられたりしていた商品が目立った。このように初めて開発され、実際に試してみないとわからない商品を知ってもらうには良い手法だと感じた。

 

 

 家具や家電メーカーのショールームというのは存在するが、あくまでもその場でも販売が目的だ。商売は、売ってなんぼという概念が覆された。数年前までは、考えられない手法であろう。仮に、計画があったとしても、実践するハードルが高かったと想像する。そこには、インターネット通販の台頭、コロナ不況、リアル店舗での販売苦境が伺える。

 

 催事を行った阪急百貨店があるJR大阪駅周辺には、阪神百貨店や大丸、大型商業施設のルクア・ルクアイーレ、グランフロントなどが立地する激戦地だ。そこで、顧客満足度百貨店部門6年連続1位(公益財団法人日本生産性本部・サービス産業生産性協議会調べ)の阪急百貨店がいち早く、「売らない店」を仕掛けた。

 今回のイベントで展示していた商品の中には、衣類が無かった。インターネット通販で衣料品を購入する人は多いと思うが、実際に試着できないので不安を抱く人は多いと感じる。1着数万円するようなブランド衣料も売らない、試着だけ可能な店舗があれば、結果として通販の売上も伸長するのではないか。現時点でも、衣料品通販の台頭でリアル店舗がショールーム化していると思う節はあるが、試着したら買わないと悪いと思ってしまうので、最初から「売らない店」としていてくれたら、私みたいな小心者には受けると感じていた。常設で衣料品や靴の売らない店ができれば、利用者を見込めるのではないかと感じるし、できて欲しいと切望している。

 

 

参考資料 b8ta企業ホームページ、㈱NTTデータ紹介資料、glafit㈱紹介資料、読売新聞2022年8月25日付

 

ページトップへ
広告をご検討の方はお気軽にお電話下さい。
専門スタッフがご対応いたします。
0663679000