ブラックフライデー商戦に間に合うように「ららぽーと堺」が昨年11月8日にオープンした。出店に選んだ場所は、堺市内で最も人口が少なく、田畑も広がる美原区。国道309号線に面し、阪和自動車道の美原北ICや美原南ICが至近に位置しており、奈良方面からのアクセスも良い。1年4ヵ月前に現地を訪れた際は、まだ更地の状態であったのが、これほどの大型商業施設が短期間で完成したことに感心してしまった。
尼崎、EXPOCITY(吹田)、和泉に次ぐ関西4店舗目。「ららぽーと和泉」から北東へ約16kmという位置関係。これらの店舗よりも敷地面積は狭いが、店舗面積では引けを取らない。
テナントは関西初33店舗を含む212店舗からなり、ヤマダ電機、ユニクロ、ジーユー、H&Mもある。そして、メディアでも取り上げられている家具のリビングハウスやクラッシュゲートがあることにテンションが上がった。
「Moff animal cafe」は、ハムスター、モルモット、カピバラ、ひよこ、フクロウ、ナマケモノ、リクガメ、イグアナ、ヘビなど40種類の小動物に触れ合え、餌やり体験もできる。近隣の商業施設では見かけないショップだ。
体験型店舗を売りにしている施設中央には、音楽やスポーツイベントを開催できる「ファンスタクロススタジアム」と呼ばれる3層吹き抜けの空間がある。そこには、542インチの大型LEDパネルとステージを囲むように飲食できるショップが脇を固める。
飲食店は各フロアに分散しており、密を避ける工夫がされている。3階フードコートの単価は、1,000円~2,000円と決して安くはないという印象だが、SC初・堺市初の店も多い。メニューを見るとどれも美味しそうなので、フードコートと侮ることなかれ。フードコートの一部には、靴を脱げる間仕切り空間もあり、子ども連れでも安心してご飯を食べられる。また、コワーキングスペースには建設前の発掘調査で見つかった約1250年前の土師器や瓦を展示している。フロアマップに掲載されていないので、是非実物を見て地域の歴史を感じてみてはどうか。
《ロピアも出店》
大型商業施設は、来店頻度を高める為に食品スーパーを誘致することが多いが、当施設が誘致したのは「ロピア」だ。2020年9月に関西初進出を果たしてから気が付けば13店目かという驚きと、関西での知名度も高くなっていると感じている。関西での既存店は、全てスーパーやホームセンター、家電量販店などの居抜き物件であったが、今回は初の新築物件である。入口付近が迷路のようなレイアウトなのが、特徴の一つとも言えるが、こちらの店舗も同様の造りでワクワク感がある。他社スーパーにあまり見られない二つ目の特徴としては、精肉は肉屋前身のロピアの品だが、野菜や魚は専門店がインショップしている形態だ。来店客が多く、商品の回転も早いので、生鮮はいつも新鮮な印象だ。
《大型商業施設の激戦地》
当施設向かいには2021年9月に開店したばかりの「ビバモール美原南インター」がある。核店舗は、ホームセンターのビバホーム。万代やエディオンの他にも衣料品専門店もテナントとして入る。オープン時は、駐車場に入庫するのに1時間以上かかったほどの混雑ぶりであった。
そして、大和川以南には「イオンモール堺鉄砲町」「イオンモール堺北花田」「セブンパーク天美」などの大型商業施設が立地している。「イオンモール堺北花田」内にあった阪急百貨店跡地には、生鮮品を扱う大型の無印良品が2018年に加わった。地場の野菜や魚を取り揃えており、人気が高く、集客力も高い。
さらに、今秋には開業延期になっているイオンタウン松原(仮称)も誕生予定だ。競合施設といかに差別化ができ、地域の人にも愛されているかが生き残る鍵となりそうだ。
《三井不動産 ららぽーと・アウトレットパークの進化は止まらない》
「三井アウトレットパークマリンピア神戸」は建て替えの為、1月15日で一時閉館し、2024年開業予定。そして、「三井アウトレットパーク大阪鶴見」は3月12日に閉館し、「三井ショッピングパークららぽーと門真&三井アウトレットパーク大阪門真」として日本初の「ららぽーと」と「アウトレット」の複合施設となり今春に開業予定だ。「ららぽーと堺」は最寄り駅の南海電車初芝駅からノンストップバスでも15分かかるが、門真の新店舗は徒歩圏内なので、自動車以外の来店も見込めそうだ。こちらの施設ついてもコラムで紹介するので、桜が咲く頃までしばしお待ちを。